2月11日トークレポート

『イエロー・ケーキ クリーンなエネルギーという嘘』
ゲスト:谷岡郁子さん(参議院議員/民主党)

原子力ムラは日本だけではない
「イエロー・ケーキ」を見て、どこも同じなのだと思いました。初めにウランを我々が取り出すところから最後片づけなきゃいけないとこまで、どこも同じ構造。地球のあらゆるところで同じ構造がある。原子力ムラって実は日本にだけあるのではなくて、世界中にある。いわば人間の一番欲張りなおぞましい姿を私達につきつけている、と思いました。

被災した人たちが自分で未来を決定できるように
1年前だったらもう少し軽い気持ちでこの映画を見られたかもしれない。チェルノブイリは特別な例外なのだと。例外でないことを福島は証明してしまったという現実があります。同僚の馬淵さんが言うんですけれど、たとえば使用済み核燃料の問題には解決がない、解答はない、とおっしゃる。でも今の政治家が避けて通れない問題。そういうことで勉強を始めました。私達は長い間、使用済み核燃料の問題は気になりながらもでも忘れてきたと思います。愕然としました。福島の20キロ圏内に行ってみました。そして夏には山百合が咲き乱れる山々を見ました。秋には紅葉の素晴らしい福島の景色を見ました。日本のふるさとに私達は何をしてしまったのかと思っています。いま、子供達は表に出ることができない。ではどうすればいいのかが分からない。いわば収容所列島のように閉じ込められてしまっていると思います。とにかく早く帰還するんだ、除染するんだという大号令、まやかしのフィクションの中で、それほど効果がないと分かっていることを政府としてやり続けていて、その結果子供達をモルモットにしてしまっている。メンゲレ博士のようなことをやってしまっている。これを変えなきゃいけない。この国の主権者は自己決定できるはずです。自分の命の問題や健康の問題について自己決定できなければならない。賠償を都合によってけちられたり、政府の都合によってどこかに押し込められたり、あるいは税収を減らしたくない、人口を減らしたくないと思うような自治体や業界の都合によって子供達が閉じこめられてはならない。原発PT(原発事故影響対策プロジェクトチーム/荒井さとし座長)が民主党に昨年4月にできました。その中でやってきましたけれど、今私達が一番やらなきゃいけないのは、この国の被害にあっている人達が自分の未来を自分で決定できるようにしてあげなければいけない。それを支える国、人々というそのための法律を作らなければいけないと思って頑張っているところですので、皆さんに助けていただきたいと思って今日ここへ来ました。

カーター元大統領
1月にカーターさんとお話ししてきました。カーターさんって原発について調べているとよく登場する。特に日本が「もんじゅ」をやろうとしていた時に反対した大統領でもあって、アメリカの核燃料サイクルを止めた。これがどうしてなのかを聞きたいと思っていました。カーターさんが言ったのは、原子力というのは力をすごく発揮するかもしれないけれど、ものすごく困難なものだと。だから本当にきちっとした状況を作らない限り、絶対に手を出すべきではない。本当にシンプルにしっかりした規制でやらなくてはいけないのだけれど、難しいとおっしゃっていました。311の福島の事故、とそれ以後の対応についてもおっしゃっていました。日本では初動に失敗した。人々に対して小さく見せるために色んな事を隠したし、遅らせたというようなことは本当にあったのですか、と聞かれましたので、「ありました」、と言ったら、「外から見てもそれは事実のように見えていた。信頼を失った時に政府は何もできなくなる」とおっしゃっていた。チェルノブイリからの沢山の文献も、スリーマイルからの教訓もいっぱいあったのに、さまざまな世界中のワーニングがいっぱいあったのに、私達は何もそこから学べなかったし、厚い壁があると思った。

例えばレベル4だと言われたものがある日突然5だ7だとなる。あの時、子供を本当に疎開させなくてはいけないのではないか、津波や色んな事が起きて大変な状況も沢山あるなかで、もっと強く言うべきかどうか迷っていた。レベル7というのを新聞で見て、ある大臣に怒鳴りこみました。分かっていたのに言わなかったんじゃないの?て。自分も新聞で初めて知ったと言われました。重要な情報を握る政権の中にいても、政府の中にいても大臣ですら持ってなかった情報もいっぱいあった。まず情報は東電が持っていて、そこから保安院へまず行くのだと思います。保安院の中にも東電が出してない情報があるのではないか疑っている人もいます。
私に分かる限りのことは皆さんに発信しているつもりです。<kunivoice>というツイッターで、私に見えていることや、やっていることは出し続けてきたつもりなのです。なかなか到達しないので歯がゆいのですけど。

日本版チェルノブイリ法
日本版チェルノブイリ法制定に原発PTで取り組んでいます。今の福島の心配な子供達をたすけてあげられる土台となる法律があるはずだと、探し求めてやっとあった、と思っています。できるだけ先回りして、影響が出てくるところをなんとかしたい。法律も、体制も、予算もない。原発事故は想定されていなかったからそのための法律って全くできてなかったし、何もなかった。最初にチェルノブイリの25年を調べてほしいと言われて随分読みました。それからスリーマイルから出てきたこともかなり調べました。読めば読むほど日本がガラパゴス化しちゃっている。特に低線量放射能の影響についてはまったく90年代のところから進化していない。それを言い続けていて、世界には色んな事を言っている人がいるのに、いつまでたっても長崎広島をやって。100ミリ以上は危ないけどそれ以下は安全だと言っている人達が牛耳り続けているという事実には呆れます。

100ミリ以下の現実は本当に分からないと思います。これだけが原因だという因果関係をピンポイントで証明することはできない。唯一しぶしぶ認めたことは子供の甲状腺がんだった。分からないのだったら安全サイドに立つべきだと思います。実は日本の法律って安全サイドに立ってきたのです。被爆者援護法は爆心地から3.5キロ以内にいた人達を対象にしている。3.5キロという距離は1ミリシーベルトの被ばくの距離だからです。つまり1ミリシーベルト被曝した人達は基本的に色んな形で支援しましょうというのは平成6年からある。つまり1ミリシーベルトというのは、リスクが伴うかもしれない、と考えて法律は作られてきている。放射能管理区域にも5ミリ以上のところには一般の人が入らないようにしている。ところが、去年の3月11日以降はそういうのを全部飛ばしてしまいました。

チェルノブイリから学ぶ 25年たっても汚染に変化はない
ベラルーシからチェルノブイリの後始末の担当をしている副大臣がいらして、ベラルーシの大使館から大使もいらして。大使も実はかなり最近交代して、本当に科学者である方がいまベラルーシ大使になっている。その方々が来て原発PTの事務局とかなり深い話しをしました。「経験に学んでほしい。ベラルーシの経験を使ってほしい」と私達も使いたい、そのような交流関係を作っていきましょうという話しをしました。副大臣に1冊の本をいただきました。汚染マップ帳です。ベラルーシ、ロシア、チェルノブイリの事故に関連した各州の汚染が、1986年1996年2006年2016年~2056年までつまり今までだけじゃなくて2056年までの汚染マップです。予想図までを全部作ってある。一番驚くのは時間が経っても汚染マップがあまり変化しいているように見えない。

東電の責任について言えば、当然重いけれど、原発を推進してきた国の責任も非常に重い。私は被災者の立場に立つ政策を作ってゆきたい。